第5回アイヌ語地名懇親会 ご挨拶

2016 9/11 永田良茂

 早いもので皆様のご協力の下に第5回アイヌ語地名懇親会を迎えることができました。

 この春には、長野の松代大会で第一回総会を済ませ、活動域を広げることにもつながり

ました。来年春には伊勢・志摩での総会を予定してもらっています。

 明治期以降、日本語の系統を巡り大きな流れが幾度となくありました。金田一京助が

間違った認識の元で、「日本語とアイヌ語は異なる言語系統」と宣言し、時代の背景もあ

り、ヤマト単一民族やヤマト言葉などの美言のもとに踊らされてきました。最近では国立

民俗学博物館の「日本民族文化の源流の比較研究」のトピックス シンポジウムの一環と

して、1987年1月の「日本語の形成」以降、日本語系統はわからないままが良いとする

意見もあり、日本語系統問題は棚上げされたままになっています。

 ご挨拶に当たり、地名とは何か、日頃考えていることを述べて課題提供とさせていただ

きたいと思っています。

  地名は発生当時は生活に必要な地点の目印として、当時の簡単な誰でもわかる言葉で表現

したものであります。ところが皆に共通認識され、地名として定着すると記号として機能し

、もとの言葉の意味とは無関係になってしまいます。このことは、地名がたとえ、民族が入

れ替わっても、言語が入れ替わっても使われ続ける多くの例を見ることができます。

   我が国においても1万3千年続いた縄文時代の縄文語が、その後の弥生時代の、生活

・文化革命後言語交代が起こり、弥生語、大和言葉へと変貌していったと考えています。

各地に縄文語による縄文地名が残っていると考えても何も不思議なことはありません。

梅原猛先生の提唱のように、縄文語はアイヌ語に引き継がれた、従って各地にアイヌ語地名

が残っているということは当然の結果と考えていますが、長年の日本語化の結果の現在の地

名であるために、日本語化の過程を知ることも重要です。日本語化の過程への留意事項としては、

  ・アイヌ語と日本語の差異、特徴を知る。

        たとえば、閉音節語と開音節語、音韻変化例、重母音や重子音の回避など

 ・漢字当字化 かつての音韻を保って当字化され、保存されていることは素晴らしい。

  ・好字二字化による短縮化 など(奈良時代初期の好字令)

 ・アイヌ語は基本的には単音節語であり、閉音節語を含む。

  日本語化された地名を復元するには複数の語源が隠されている場合も多い。

   一例として、「イカリ」地名4または5通りの解釈が成り立つ。

 現在の地名からアイヌ語地名探索作業は暗号解読に似て、大変スリリングであり、意義

深いが独りよがりに陥りやすく、誤りを防ぐためにも意見交換が重要と考えています。

 この会の存在意義や必要性を改めて皆様とともに考えられたらと思っています。